2020 年度総会と学習会報告
埼玉県小川町周辺の史跡巡り ―小川町 下里・青山板碑製作遺跡などの巡検―
2020 年8 月29・30 日の両日、埼玉県比企郡小川町において1 泊2 日の学習会及び総会をお
こないました。天候にも恵まれ、総勢7 名の参加者がありました。
初日は「道の駅おがわまち」に集合し、2台の車に分乗して大聖寺に向かいました。大聖寺で は小川町教育委員会の吉田さん・深澤さんと合流し、緑泥片岩で作られた六面石幢(ろくめんせきどう)を見学しました。六面石幢は14 世紀に作られた供養塔の一種で、ほぼ完全な形で遺る 貴重な文化財です。下里・板碑製作遺跡は「ズリ」と呼ぶ砕石が累々と堆積してできた遺跡で、採石の痕跡が残る露頭や埋めずに残されたトレンチを前に解説を頂きました。また特別に、採集された板碑の未成品も見学しました。さらにオプションとして、槻川の河床に残る採石の遺構も案内いただきました。中世から近世における石材採取のあり方や工程の実際を具体的に知 ることができました。
吉田さん達とは現地で別れ、一行は小鹿野町の宿に向かいました。夕食後、ZOOM を併用して学習会に参加できなかった会員も交えた総会を開催しました。
翌
日は長瀞町で日本一の大板碑「野上下郷石塔婆」と「板石塔婆石材採掘遺跡」の見学をしまし た。板石塔婆石材採掘遺跡は山の中にある結晶片岩の露頭で、足元の悪い山道をひたすら登りました。ここでは主に近世の採石の痕跡が観察でき、小川町の採石遺跡との違いが良く理解できました。下山後に昼食を取って解散しました。その後、有志で埼玉県立自然の博物館、長瀞町郷土資料館などを見学しました。両日ともに濃密な学習会でした。
なお、長瀞町郷土資料館には「野上下郷石塔婆」と「板石塔婆石材採掘遺跡」の解説コーナーが開設されており、合わせて見学できればより良かったかなと思います。今回、参加できなかった方も、
長瀞に行った際に立寄っていただければ、とても
参考になると思います。 (HS)
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