皆さん、いかがお過ごしですか。友の会秋の学習会のご案内です。今年は埼玉県秩父市内で鉱物採集を行なう事にしました。千葉からは少し遠いですが、日帰りも可能です。また、前日に秩父市内で宿泊も行ないます。
今回は、集合駅から参加者の自家用車で移動するため、事前参加申し込み制としました。参加希望の方は、同封の参加申込書を友の会事務局へ郵送、FAXでお送りいただくか、同様の内容を記載してメールでお送りいただいても構いません。ご協力をお願いします。
前日宿泊について(11月26日)
集合予定時刻・場所 15:00西武秩父駅
宿泊場所は民宿を予定しております。参加希望をされた方にご案内をお送りします。
【電車のご案内
】
①西武池袋駅8:30発 特急ちちぶ7号西武秩父行 9:52着
②西武池袋駅8:05発 快速急行三峰口行 9:48着
池袋~西武秩父IC料金772円指定席特急料金700円
小雨でも行ないます。雨天時は、埼玉県立自然の博物館見学を予定しています。
~秩父鉱物採集下見報告~
9月4日に、秩父で秋の学習会の下見を行いました。埼玉県立自然の博物館の館内を見学した後、学芸員小林さんから鉱物採集が可能な場所を教えていただきました。その場所は秩父鉱山の近くの河原でしたが、河原に下りて周囲を少し探しただけで輝く鉱物をいくつか拾うことができました。ところどころに他の人が採集した形跡もあり、じっくりと探せば大物も期待できる場所であると感じました。
その後、東松山にある化石と自然の体験館の見学に行きました。これは今年の4月に開業した施設で、サメの歯を多く含む地層から移植された岩の中から化石を探すことができます。この日もサメの歯が十数個見つかったようでした。学習会では行かないことになりましたが、個人的に行ってみたいと思いました。
学習会で訪れる河原はおそらく参加者全員が鉱物を持ち帰れると思うので、みなさんもぜひご参加ください。(茶木慧太)
参加報告
今回の見学先は、荒川水系中津川の支流である神流川の河原でした。
西武秩父駅から車で約一時間半のところ、奥多摩甲斐秩父国立公園内の山深い場所です。この見学地点の上流には秩父鉱山が存在し、戦国時代から金・銀・銅・鉛・亜鉛などの有価金属を含む鉱物が採掘されていました。現在は株式会社ニッチツによって石灰・大理石が採掘されています。
これらの金属を含む鉱物は元々秩父地方一帯に存在した中生界堆積岩、特に石灰岩類にマグマが割って入ってきた為にできました。マグマから供給される熱と熱水の移動により、金属元素などが堆積岩側に移動して、最終的に新たな鉱物として晶出したと考えられます。このようにしてできた鉱床を「接触交代鉱床」「スカルン鉱床」などど呼びます。見学地点では堆積岩(砂岩や泥岩、チャート、石灰岩)と深成岩(石英閃緑岩:やや苦鉄質なマグマが地下深くで冷却してできた岩石)が見られ、それらと共に多くの鉱物が見られました。金属鉱物を含んだ石はとても重たく、また叩いて割ると硫黄臭がする医師もありました。確認された鉱物の一例をいかに挙げます。
・方解石Calcite(カルサイト) CaCO
透明~白色でひし形に割れる。劈開が明瞭で、面反射が著しくキラキラと輝く。
・閃亜鉛鉱Sphalerite(スファレライト)
暗黒色で面状の劈開が発達していることが多い。方鉛鉱が光を通さないりにFe が入ることも多々あり、その含有量によって、緑色、褐色、黒色と色を変える。本見学地のものは非常に黒光りするものが良く見られた。
・方鉛鉱? Galena(ガレナ) PbS
黒色に近い暗灰色コロッとした形になりやすい。
・黄鉄鉱Pyrite(パイライト) FeS
金色のような黄褐色でサイコロ状の形
・硫砒鉄鉱Arsenopyrite(アーセノパイライト
黄鉄鉱や黄銅鉱に似ているが黄白色~白色
・黄銅鉱Chalcopyrite(キャルコパイライト)
黄鉄鉱との見分けが難しいが、やや黄褐色が強い。黄銅鉱は形のない鱗片状の形で集合体を形成することが多い。
・菱マンガン鉱Rhodochrosite MnCO
鉱物の形は肉眼では確認できないが、淡紅色の細かい鉱物の集合体として美しい色の岩石になる
・磁鉄鉱?Magnetite(マグネタイト)FeFe2O4
黒色不透明の鉱物で形が良いものは正八面体を呈す。磁石にくっつく。
・灰ばん柘榴石? Grossularite(グロッシュラー)Ca3Al2Si3O12
スカルンに伴って晶出する鉱物の代表格。12 面体、24 面体のコロコロとした形で産出されることが多い。
・針鉄鉱?Geothite FeO(OH)
その名の通り、針状の形をした鉄鉱物。黄鉄鉱や磁鉄鉱などが酸化して、OH とくっついてできる二次鉱物。焼石に多く見られる。
ここに挙げた以外にも、もっと多くの鉱物があったのではないかと思います。私も、金属鉱物は勉強中ですので、確実的な同定はできませんでした。
秩父鉱山周辺は多種多様な鉱物が見られることで、鉱物愛好家にとって人気のスポットのようです。インターネットや本などに多くの情報が掲載されています。皆さんも是非、それらを参考に持ち帰った土産を見ながら、鉱物の同定にチャレンジしてみてください。その時は明るい場所でかつ磁石や釘、ルーペや虫眼鏡などがあると役に立つでしょう。(HT)
カン、カン、カン、秩父の山奥にこだまする音、一体何の音だろう。その響き渡る音から時を遡ること3時間前、私は前橋の町で道に迷っていた。集合時間に間に合うかな?こんなハプニングもあったが、何とか目的地の西武秩父駅に到着し見慣れた仲間と合流できた。これが2016年11月27日、秩父鉱山鉱物採集の幕開けだった。
集合場所から鉱物採集ができる現地までは更に車で1時間本当に山奥だった。でもこの道は約20年前通ったことのある道だったようで記憶が徐々に蘇ってきた。到着したのは埼玉県秩父市の中津峡。雪が少し残る中津川に降りたのは、小学生を含む老若男女11 人。
河原や川べりの土を魚沼ハンマーで掘り起こし、岩石ハンマーで表面が風化した石をカンカン叩き割るとそこには・・・。白や灰色、黄金色等に輝く石が出てきた。欲しかった鉱物だ。何も知らない人が見たら何だろう?と注意を引く石を叩く集団。だけどそこは誰も来ない山奥。
僕等は競って石を割り続けた。
鉱物採集が一息ついたら、採れた鉱物や、ここ秩父鉱山の構造と成り立ちを天藤さんから講義頂きました。有難うございました。簡単に報告すると、大昔まだ海だった秩父一体に泥や砂が溜まりました。そこに高熱のマグマがやってきて高温で石が今の状態になったよ。と言うことです。
採れた主な鉱物を紹介すると、黄鉄鉱、黄銅鉱、石灰、方解石、ざくろ石等です。因みにここ秩父は緑色のざくろ石が採れる世にも貴重な場所で、20年前に私がここに来たのはその緑色のざくろ石が目的でした。杉田さんの話によれば、その採掘場所周辺もすっかり変わってしまい、今はどうやって行けばいいのか分からない状況だとか。
友の会の学習会に約1年ぶりに参加した私ですが野外活動は色んな発見をその場で体験できるのでとても楽しいです。また学習会に参加したいですね。(TK)
~事務局より~
参加者の天藤さんに学習会で採集できた鉱物について報告してもらいました。参加者は11 名、数年ぶりに参加してくれた方から、初参加者の方までたくさんの方に参加していただきました。
天候が心配されましたが、採集中は雨も降らず皆さん楽しく採集されていました。私は雨男なのですが、強力な晴れ少女が参加してくれたので雨は降らなかったと思います。
参加者の鈴木久仁博さんが作っているブログにもこの学習会のことが紹介されています。『環世界の窓から』で検索できます。(小林康夫)
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